目盛りメモリーズ(旧One Click Say Yeah 2020)

音楽、映画、その他日常の生活からはみ出たもの、または日常そのもの

SONYの80年代のCM


ソニー ベータプロCM / Sony Beta PRO CM

 

80年代〜90年代のCMをYoutubeで見るのが好き。なんなら仕事帰りに電車の中で見ながら帰るくらい、好き。落ち着く。

特にオーディオ機器のCMがいい。高級感とか華やかさとか、あたかも「音楽を聴く」「ビデオを見る」という行為そのものがとても崇高な、価値のある行為のような。そんなオーディオ機器メーカーが意図的に作った画一的な価値観が、こういう必要過多な機能を備えた商品と謎にノスタルジックなCMを生み出した。

 

本題は、このソニーのbeta PROのCMで使われている歌がとてもよくて、一体誰が歌っているんだろうと思ったら、ちゃんと同じことを考えてくれている人がいて助かった、という話。

f:id:myanger081:20201025005217p:plain

 

f:id:myanger081:20201025133608j:image

歌はKarla Bonoffで曲はThe Rose。もともとはジャニス・ジョプリンをモデルにした1979年の映画「ローズ」の主題歌でBette Midlerが歌った曲のカバーらしいです。すみません、なにもかも知らない...。

しかもこのKarla Bonoffバージョンは、なんと音源化されていないらしいのです。(Youtubeのコメントで回答してくれた人は、30年間音源化を待っているっていう)

 

有名でも無価値なものもあれば、誰も知らないマイナーな作品が自分にとって一生の宝物だったり。オーディオとかファッションとか、音楽とか本とか映画とか、今やモノの価値観は一人一人が自ら選択していくもの、っていうと当たり前に聞こえてしまうが、意外とそうでもなかった時代がついこの間まであったわけで。一人一人が自由に選べる今は確実に良い世界であると思う。

 

けれども「企業側の戦略には簡単に乗らない」消費者のかしこい意識が標準となってしまった今だからこそ、逆に、そうでなかった時代の醸し出す雰囲気に惹かれる、ということもあるわけで。80年代のCMは特に多い気がするし、vaporwaveの美意識はこういうところから来ている気がする。(必ずしも批評的な思想だけではない)

 

ただのビデオデッキのCMに、こんな叙情的な歌と映像で宣伝する時代。80年代らしさが詰まったCMの1本でした。

 

Karla Bonoffについては、この曲がCMの雰囲気に近くて、本当に素晴らしい歌声。


The Water Is Wide(Traditional)with lyrics-Karla Bonoff