2012 BEST(洋楽編)
明けましておめでとうございます。
というわけで単刀直入に2012年の洋楽ベスト!
第5位 Grimes 『Visions』
とにかく今は宅録ローファイ女子バブル、雨後のたけのこみたいにわんさか出てきてて、試しに聴いてみたりするとリヴァーヴ強めのゆるふわヴォイスで気持ち良さそうに歌ってる作品ばかりで、誰かどう良いのかさっぱり分からない。そんな中、はっきり言うと「ジャケ」と「解説:野田努」だけで入手したGrimesちゃんだけ、唯一と言っていいほど聴きまくりました。
ちなみに原盤(輸入盤)のジャケはこれ
- アーティスト: Grimes
- 出版社/メーカー: 4ad
- 発売日: 2012/02/21
- メディア: CD
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さすがにこのジャケではイメージを伝えられなかったのでしょうか。(正しい選択かもしれない。)
高円寺20000Vに入ってるフライヤーみたいなジャケ(Grimes=クレア・バウチャー自作!)と4ADと聞いて自分の持つレーベルカラーと、実際のサウンド、そのどれもが微妙にピントがズレテてる点もナイス!
所謂チルウェイヴ的な流れは受けていると思うのですが、同じ80'sテイストでも、もっとシンディー・ローパーっぽい懐かしさを感じるのは俺だけ?今作はこれまでよりポップな作品に仕上がっているようなので、これで本当にLADY GAGAみたいになったら面白いな。
サマソニ2012にも来日してましたが、何と2013年に単独来日!
チルウェイヴの終焉、そしてGRIMESとKEEP SHELLY IN ATHENSという新たな才能の台頭
第4位 jon spencer blues explosion 『Meat And Bone』
90年代に活躍して、00年代を模索し続けて最終的にスルーを貫いたバンドって多いのではないでしょうか。電気グルーヴとか。(飛躍し過ぎか...。)
そんでやっぱり俺たち、これしかないねん!てな具合に原点回帰でexplosionしてくれたジョンスペは期待以上に最高でした。結局、彼らの決定的なフォロアーが出てこなかったのも孤高の存在たらしめている部分かもしれない。
あとは、B級映画的なザラついた感触というか、結局この辺りの肌触りは自分に妙にフィットすることを8年越しに再確認させられました。
- アーティスト: Jon Blues Explosion Spencer
- 出版社/メーカー: Mom & Pop Music
- 発売日: 2012/09/18
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格好いいのに何故かちょい3枚目っぽいJon Spencer本人のキャラクターも、映画でいうところのタランティーノのポジションを彷彿として、って感じてたら新曲のPVがまさにそのテイストだったから膝打った!
The Jon Spencer Blues Explosion - "Black Mold"
昔からこのテイストでしたね。懐かしい...。
Jon Spencer Blues Explosion - Dang
こないだのSHELTERのライブ。上がるわー。
The Jon Spencer Blues Explosion - Gadzooks!
第3位 Thee Oh Sees 『Putrifiers II』
US/UK の中堅バンドだと、デビューから2枚目くらいまでもてはやされて、3枚目位から「変化がない」とか言われて無視され始める傾向があって音楽シーンて残 酷!ってよく思うのですが、確かにデビュー時の元気もアイデアも一杯の状態から、先細りしていく感じのバンド(特にバンドに多い)って確かに多いですよ ね。Clap Your Hands Say Yeahとかマジでがっかりした...。
そんな中、ずっと期待しててその期 待を十二分に更新し続けてくれているのがThee Oh Sees。といっても、この人たちは元々一部でしか評価されてなくてその人気をジワジワ着実に上書きしてきている感じで、過小も過大もされていないのはある意味理想かもしれないですね。まあ、日本では殆どといっていいほど話題になりませんが。
WAVESとかのLo-Fiガレージサウンドの括りで紹介されてきたけど、実は結構作品ごとに振れ幅があり、ガレージパンクぽかったりサイケだったりしてたのですが、いい意味でそれらがうまく融合した作品。この手のバンドも最近多いので正直いって好みの問題、って言ってしまえば早いのですが、時代の流れとともにfade outせず、長生きしてほしい。そんで来日して欲しい。
- アーティスト: Thee Oh Sees
- 出版社/メーカー: In the Red Records
- 発売日: 2012/09/11
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PitchForkのライブ。VocalもBassも、入れ墨が多い...。やばい人たちなのかな?
Thee Oh Sees performs "The Dream" at Pitchfork Music Festival 2012
こんなかわいい曲も、上記の入れ墨の方達が歌ってると思うと...
Thee Oh Sees - I Need Seed
warszawaレビュー
Thee Oh Sees – ‘Putrifiers II’ [review]
第2位 Ariel Pink's Haunted Graffiti 『Mature Themes』
実は当初JANISでレンタルしたんですが、あまりに良すぎてヴァイナルで購入してしまいました!
Animal collective絡みでずっと知ってはいたんですが、知らない間に本国では超人気アーティストになっててビックリ。どれどれと(レンタルして)聴いてみると、これは今まさにジャストな感触。全力を敢えて出さない斜めスタイルというか、基本的にナード側の人だと思うんだけれど、しかし音の配置は明らかに今であり、こういうおたく気質の人が音楽的に成熟していくととんでもないことになる、という証明的な作品。
それにしても、grimesとAriel Pinkでもって4ADって今こういう状態なんだというのと、自分にとってかなり重要なレーベルに位置付いているという認識、そして本作もライナーノーツを書いている野田努シンパになりそうでうれしはずかし。
- アーティスト: Ariel Pink's Haunted Grafitti
- 出版社/メーカー: 4ad / Ada
- 発売日: 2012/08/21
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PVもそうとうヤヴァい
Ariel Pink's Haunted Graffiti - 'Only In My Dreams'
インタビューその1 ele-king
interview with Ariel Pink - パティ・スミスは大嫌い
インタビューその2 (上の野田さん後のインタビュー。続けて読むと面白い)
Ariel Pink Interview - musicreview.jp
そして、第1位は...ズドーン。
第1位 co la 『Daydream Repeater』
とりあえず聴いてもらえば分かると思いますので、ダイジェストのsoundcloud貼ります。
Co La - Daydream Repeater JP Version by pdis_inpartmaint
正確には2011年の作品なんですが、日本盤として9月に出たばかりらしいです。タワレコの手書きコメントだけ読んで購入したのですが、最初は未知の感覚に「おっ」と食いつき、リピートしていくうちにカタルシスに変化していく名盤の王道パターン。
CLUBコーナーに置いてあったので、昨今のダブステップの流れで紹介されているようですが、自分のような普段からテクノとかハウスとかダブステとかに精通してない人間でも思わず反応してしまうサウンドコラージュ。つーかダブステップの定義って何?
本作に関しては再び、野田努氏の力をお借りすることにする。
Co La / Daydream Repeater - ele-king
2012年の総評にもなるんですが、上記野田努氏レビューの書き出し部分が自分の今の感覚をドンピシャで言い当てられてます。
リスナーが音楽のなかに快楽とユーモアを求めているなら、通学や通勤のときのげんなりした気持ちを鼓膜を通じてupしたいのなら、本作『デイドリーム・リピーター(夢想中毒者)』を推薦しよう。
快楽とユーモア、求めてるし、通勤のげんなりした気分、UPしたい!というか今までもずっとそうだった。今年の5枚を改めて並べてみても、上記の言葉が当てはまる。アリエルピンクも言ってたけど、もはや音楽で革命なんて起こるわけないし、その音楽の社会的意義なんかを問うのは音楽業界内だけの話であって、本当のこと言えば、そこに自分にとって大切な音楽さえあれば良いのです。あとは、どうだっていい、というと身もふたもないですが、もっと現実的な日常は、仕事とお金と時間と人間関係、そして「生きる」ためのわずかな希望のような灯火を日々ともし続けるだけなのであり、革命、というと大げさだけど、生活は、本当のことを言えば音楽という「幻想」のもっと先に生々しく有るものです。そんなことを考えさせられた1年でした。
なんというか、それに自覚的なのがCO LAだったりアリエルピンクのような気がするし、ジョンスペやThee Oh Seesはいずまでも幻想を「それ以上として」過剰に演出せずにコツコツと提供してくれている感じがします。その謙虚さが、今の自分にはしっくりくる。
日本のロックは、未だにさもその音楽の中に真実が有るような物言いが多くて、興味がどんどん遠のいていると言うのが現状。いつまでもそんな「リアル」に捕われているようなら、日本の音楽は終わったも同然だと思うよ!本気で。自分は殆どアイドルに興味を持てないでいるが、人気が出るのは仕方がないと思う。アイドルが強いというより、ロックミュージックが弱い、という印象。音楽なんて幻想なんだってことをはやく悟った方がいい。日本にもおたくな連中は沢山いるくせして、アイドルとかアニメにウツツを抜かされて、アリエルピンクやgrimesちゃんのような逸材を生み出す契機を完全に失ってしまった。
と、いうことで、今年もよろしくお願いします。